決まったりします。
<音楽+フォント+α>
オープニングの音楽と背景にこの作品のセンス、遊び心、主人公
ボビーの人柄が感じられて始めから引き込まれました。
公式HP
ファッション雑誌「ELLE」の編集長、ジャン=ドミニク・ボビー。
仕事、女性、旅、と人生を謳歌していた42歳が、突然脳梗塞で倒れ、
全身マヒに。
唯一、動かせる左目のまばたきによって、自伝を書きあげた
実在の人物の映画化。
まるでポラロイド写真のような柔らかな光の映像がとてもキレイです。
身体が動かず片目だけから見えるボビーと同じ視界。
涙ぐむ時に、かすれる映像。
意思、知力はそのままなのに突然、身体的自由を奪われた状態=
「ロックト・インシンドローム」
劇中、ハイジャックに遭い、4年間人質になっていたという
知人の「人間性にしがみつけば生きていける」という
言葉が心に残ります。
以前見た『パピヨン』
獄中生活を強いられた人とも重なりました。
「ネルソン・マンデラは獄中にあっても、ネルソン・マンデラだった」
とも聞いたことがあります。
ボビーは身体的自由を失い、絶望の中から自由にはばたける蝶の視点を
見いだします。
場所、時さえも超えて豊かな想像力と記憶力でボビーにしか
見られない世界が見えるようになり、回りの愛する人達とも
繋がっていられる。
重病ものにもかかわらず、おしつけがましくなく、
家族の絆を表しているのに夫婦の愛情物語ではないところが
フランス的なのでしょうか。
ボビーと言語療法士、編集者との地道なコミュニケーション法で
本を書き上げた奇跡のような出来事とエンド・クレジットが
重なり、すがすがしい余韻が残りました。
もう一回観たい♪と思ったのですが、MOVIXは上映終了。。。
上映館は少なくなっているので、未見の方はお急ぎください!
* * *
子供達の母役のエマニュエル・セニエ。この特徴のある顔、
どこかで見たことがあると思ったのに思い出せなかったのですが
『フランティック』
作品中の歌 " Don't kiss me goodbye " は、彼女が歌っています。
言語療法士のマリ=ジョゼ・クローズ。
ナオミ・ワッツ似のとってもきれいな人。
『みなさん、さようなら』
次回レンタル決定です。
さっそく原作も読みました。
まばたきだけで、単語をたどっていくこのコミュニケーション法。
ボビーの友人たちは、みんなトライするのですが、
どうも女性の方が得意だとか。う〜ん、わかる気がする。
映画の中にも男性の友人がアルファベットを読み上げるのに下を
向いていて、自分のまばたきに気がつかず、「俺の顔をみてくれ」
とぼやくシーンがあり、笑ってしまいました。
また、子供達の母である女性とは倒れるずっと前から別れていた
とのこと。
それにしても、女性として辛いシーンがありました。。。
この映画が普通のドラマ調にならなくて本当に良かったと思いました。
イメージ(映像)が原作の持つセンスにぴったり。
映画を観てから原作、オススメです。
TB&コメントありがとうございました!
>病ものにもかかわらず、おしつけがましくなく、家族の絆を表しているのに夫婦の愛情物語ではない
本当に、そういうところが良かったですね〜。
邦画などはすぐにお涙頂戴に走るし、夫婦愛にもって行きたがりますものね。
妻の前でも愛人に「会いたい」というシーンはかなり辛いものがありましたが・・・。
しめっぽくないのがいいですよね。
でもボビー目線で、涙で視界がかすんでしまうカメラの撮り方とか、控えめながらも気持ちが伝わってきました。
そういえば、あの病院や海は風が強かったですよね。
女性達のワンピースがひらひらしていて。。。
ボビーはあの風を感じられたのかな、と今ふと思いました。
>ポラロイド写真のような柔らかな光の映像がとてもキレイ
僕も軽い症状がありますが、あのポロライドのような視覚は、白内障のそれと似た感じかなと思います。
視野が少し狭くなり、白濁気味で、光が眩しく感じるんですね。
コメントありがとうございます。
そういうところまで考えられていたのでしょうか。
きっと身体もきつかったでしょうにユーモアを持ち続けて生きた彼。
改めて素晴らしさを感じました。